「内在する小宇宙[folding cosmos]」—日本の伝統的な最小空間を、幕末の探検家、松浦武四郎が遺した「一畳敷[the one – Mat -Room]」の精神性を示す床の間をモティーフとして、日本人がもつ世界観の一形式を概念的なかたちで表現しています。生涯旅を続けた武四郎のように、世界を旅しながら各地の文化と交流していく象徴として、会場は方舟をイメージしたエレメントで構成されています。 旅の先々の記憶を留める一畳敷で、武四郎は老いてもなお多くの客人と対話による交流を行ないました。今年はNYCの9.11の10年目にあたり、また日本では3.11が起こりました。生と死が一瞬のうちに通り過ぎる瞬間に、人々は「一期一会」を悟ります。悲劇の後の喪失感を埋める創造—芸術によって世界の人々が繋がっていく事は不可能ではありません。国内外で活躍するアーティストの作品を会場にちりばめ、時間と空間を共有する事によって「対話」が生まれます。 日本では戦地に赴く前や、悲劇の後に心を鎮めて平常心に戻る為に、形式となった所作の繰り返しである茶道を嗜む文化がありました。より積極的な交流として今回は「一期一会」のもてなしの茶席を企画に取り入れています。 人それぞれがもつ記憶と、内在するしょう宇宙。かすかな光が揺らめく空間で瞑想と対話の時間を経験していただきます。(ブロシュアより転記)